江戸流手打ちそば二・八の会 松本 明

. 頭を使う

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頭を使わなければ日常を過ごすことはできないが、積極的に問題を解決するような頭の使い方
が肝要である。 ポテトチップスを食べながら寝転んでテレビを見るのはあまり勧められない。
事実、高齢者が13時間半以上テレビを見ると認知機能が低下するという報告がある。
しかし、必ずしも高度な知的作業をすることで頭を使う必要はない。高齢者がクロスワードや
数独といった簡単なパズルを規則的にすることでどれだけ認知機能が向上するか調べたイギリ
スの研究がある。クロスワードパズルでは文法的推理能力、パターン認知能、注意力に向上が
認められ、数独パズルではエピソード記憶、空間認知能、注意力、処理速度に向上が認められ
た。 いずれの能力も10歳程若い人の値に相当するという。

. 社会生活を営む
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図のように豊かな環境で育てたネズミの大脳皮質は普通の状態で育てられたネズミのそれより
厚くなっていた。 これは1960年代初頭の実験結果であるが、その後刺激に富む環境が実験動
物や人の脳を活性化するという幾多の研究成果が蓄積されている。

高齢者を3年に渡って調べてみると、友人や家族と過ごすことやボランティア活動への関与が
少ないうえに脳内にアミロイドβの蓄積が多いほど認知機能の衰えが著しかった。
また、活発に社会活動していた高齢の修道女の脳を剖検したところ、脳内に老人斑が認められ
ても認知症を発症することはなかったという報告もある。これらの知見は、社会活動が認知機
能の維持に重要な役割を果たしていることを示している。 社会から隔絶されたドイツの南極
基地で14ヶ月過ごした探検隊員を調べてみると、学習や記憶を司る海馬に萎縮が認められ、
血液中の脳由来神経刺激因子(BDNF)量が低下していたという面白い報告もある。
                                     参考書:「ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である」、東洋経済新報社